制服販売店で働く私が言うのも変な話ですが、「学校制服って値段が高い」ですよね。わかります、母親の立場でいうとすごくわかります。でも私は制服の販売員という仕事に誇りをもっています。それは学校制服が、お客様に自信を持って勧められる商品だからです。今回は制服が高い理由と、その価格以上のメリットを持つ商品という紹介をさせてください。
短い納期で少ない生産ロットが求められる学生服
学校制服は価格の点で、一般アパレルの洋服とよく比較されます。「夫のスーツが2着分買えるわね。」って、お客様に言われることも。。。ただ制服は合格発表があって、それから採寸して、入学式までの短い期間で、どんな体型の生徒がいても、全ての生徒に入学式までに制服を届けないといけません。
それを実現する為には、一般アパレルとは多くの違うことをクリアしなければならず、コストがどうしても高くなります。制服メーカーさんの話を参考に一般的な洋服と学校制服を比較してみました。
一般アパレル | 学校制服 | |
生産形態 | 海外での大量生産 | 学校ごとのに違うデザインが増え、多くの品種・少ないロットでの生産 |
生産納期 | ある程度の期間を確保している | 採寸から入学式までの短い納期で生産が必要 |
縫製工場 | 自社工場でなく、提携の海外縫製工場へ委託 | 多くの品種・少ないロット・短い納期に対応する為、国内に自社工場を持つ必要がある |
デザイン | 毎年のトレンドを考慮のデザイン | 長年採用しても飽きのこないデザイン |
品質基準 | 1年着用を想定 | 3年間毎日着用しても問題ない耐久性と品質を担保 |
商品在庫 | 1シーズンで売り切ってしまう | 在庫を持ち、在校生からの注文にも対応 |
採寸方法 | 好きなサイズを自分で選択 | 学校の服装ルールや体の成長を想定したサイズを販売店やメーカーがアドバイス |
選択自由 | 自分の好きな服を購入可能 | 学校で決められたデザインの制服しか購入できない |
追加生産 | 在庫がなくなれば追加生産は基本なし | 学校制服に採用されている限り、いつでも生産する。また毎年同じ色や形、品質を維持しなければいけない。(3年生と1年生の制服が違ってはいけない) |
・3年毎日の着用を可能な品質と耐久性
・少ないロット、短い納期の生産効率の悪さ
・国内工場を維持しながらの生産
・同じものを継続生産する管理負荷
など、いろんなコストが高くなる要因があります。
学生服のメリット
学校制服は値段が高いだけではありません。価格以上のたくさんのいいところがありますので、紹介させてください!
① 朝、服装に悩まなくていい!
女子は特に朝の限られた時間で服に悩まないのは大きい!!
② 制服を着たり脱いだりで、勉強モードとプライベートの切り替えができる!
③ みんな同じ制服で経済的な貧富の差が分かりにくい!
④ 私服のセンスや同じ服を頻繁に着ることによるいじめが少なくなる!
⑤ いい意味でも悪い意味でも学生であること・特定の学校の見分けがつく為、風紀の乱れや犯罪の防止・抑止に効果的!
⑥ 同じ服を着ることで仲間意識や連帯感が生まれる!その学校の学生であるという自覚も持てる!
学生服のデメリット
制服のいい部分を知っていただけたと思いますが、値段が高い以外の良くない部分も伝えないといけないと思いますので、次に記載します。
① 好きな服が着られず、みんな同じで個性が出しにくい!
② LGBTQの方への配慮等でスカートやスラックスなど、アイテムを自由に選べる制服採用は増えてきているが、対応していない学校もまだある。
③ ラフな洋服に比べると制服は動きにくく、冬は寒く夏は暑いイメージがある。
購入時の金額は高いけど、3年間で考えると私服校よりリーズナブル!
学校制服は高いという前提で話をしてきましたが、実は学生生活の3年間でトータルの服に使う金額で比較すると、私服校と比較して学校制服の生徒の方が金額が抑えられるという調査データもあります。
購入時に支払う金額としては高いですが、長い目で見れば安く抑えられます。その大きな要因は次の2です。
① 私服を何枚も買わなくてよくていい
私服校は平日分の私服も買う必要があり、品質的に3年間持たないので買い替えの頻度も多い。
② 制服は冠婚葬祭に着用できる為、別に礼服を追加で購入する必要がない。
制服での冠婚葬祭への参加についての記事もまた見てみてください。
まとめ
制服は確かに値段が高いですが、値段だけに注目せず、それ以外のいいところにも目を向けてもらい、今回の記事で「制服の見方」が少しでもいい方向に変わるとうれしいです。