最近はジェンダー配慮の観点から、詰襟やセーラー服から性差を感じにくいブレザースタイルを採用する学校が増えています。
わたしのお店ではブレザースタイルの学校の制服をマネキンに着せて飾っていますが、その時に「制服のジャケットの一番下のボタンがとまっていませんよ(あいていますよ)」とよく言われます。
そこで質問です。
制服のジャケットの一番下のボタンを「とめる」「とめない」、どちらが正解だと思いますか?
結論からいうと男性は「上衣の一番下のボタンはとめずにあけて着る」、女性は「ボタンを全部とめて着る」が正解です。
下のイラストで言うと男子生徒は間違い、女子生徒は正解となります。
知ってましたか?
なのでお客さんに言われたときには「男子のブレザーの一番下のボタンはとめないのが正解なんですよ」と答えています。
その時は皆さん驚かれて、けっこーいいリアクションをしてくれます。
ただアイテムによってはそのルールが違ってくるので、今回はそのあたりを詳しく説明しますね。
男性の着こなしのルール
メンズのブレザー(スーツ)には「アンボタンマナー」という言葉があり、一番下のボタンは開けておくのを正式なマナーとしています。
就活が初めての男子大学生だと全部閉めるのがマナーだと思っている人が多くいますが、リクルートスーツを着用する際、ボタンは上だけをとめて一番下は開けるようにします。
3つボタンのスーツも2つボタンのスーツも一番下のボタンは開けておきます。
その目的はブレザーにシワが寄るのを防ぐためです。
一番下のボタンをとめたまま座ると、お腹のあたりに不自然なシワができてしまい、見た目がよくありません。
ブレザーにむりな力がくわわるため、傷みにもつながるため、一番下のボタンは開けておくのがベストです。
そもそも男性用のブレザーは裾が少し広がったデザインになっているため、一番下のボタンを開けておいても、着席時にキレイなラインをキープできます。
制服メーカーの方いわく、一番下のボタンは「飾りボタン」のため中世ヨーロッパでは、ボタンは元々装飾品の一つとして楽しんでいた歴史があり、そんな歴史の名残が現代でも定着したそうです。
女性の着こなしのルール
女性のブレザー(スーツ)は基本的にボタンはすべてとめるのが正しいマナーで、「アンボタンマナー」は適用されません。
女性用のブレザーは男性より丈の長さが短いため、ボタンをとめないと腹部が目立ってしまい、逆に不格好に見えてしまいます。
ボタンを全部とめると男性用のようにシワにならないか心配かもしれませんが、女性のブレザーはウエストラインが絞られたデザインで、ボタンを一番下までとめてもシワになりにくいシルエットになっています。
もし全部ボタンをとめて座った時にシワが寄る場合は、サイズが合っていない可能性があるため、改めて採寸するなど、サイズを確認しましょう。
商品アイテムごとのルール
ところで、前あわせ部分にボタンがある商品(アイテム)はブレザー以外にもありますよね?
ではカーディガン、コート、学ラン(詰襟)などは着用の際に一番下のボタンをあけるのでしょうか?
結論からいいますと
男子ブレザーのように一番下のボタンをあけるアイテムは、
「男子生地ベスト」、「カーディガン」です。
女子ブレザーのように一番下のボタンをあけない(全部とめる)アイテムは
「女子生地ベスト」、「学ラン(詰襟)」、「コート」になります。
では商品アイテムごとに詳しく説明をしますね。
■一番下のボタンをあけるアイテム
【男性用ブレザー】
制服のブレザーにも「シングル」と「ダブル」があり、「シングル」にも「2つボタン」と「3つボタン」の仕様があります。
シングルの場合は「2つボタン」でも「3つボタン」でも、一番下のボタンはとめずに着ます。
学校制服のデザインとしては少ないですが「ダブル」のジャケットで4つボタンのダブルジャケットの場合は、基本的に下の2つのボタンだけをとめます。
上のボタンは飾りボタンです。
6つボタンのダブルジャケットは「真ん中のボタンをとめる」もしくは「真ん中と下のボタンをとめる」のどちらかです。
【男性用生地ベスト】
制服の生地のベスト(ニットでない)には「シングル」でもボタンの数がいろんな種類があります。
ボタンの数にかかわらず、一番下のボタンはあけて着用します。
ただ学校の指定制服で男子用の生地ベストをアイテムとして採用している学校は少ないです。
【カーディガン(ニット)】
カーディガンを着る時も、ブレザーにならって一番下を開けて着ると窮屈にならずバランスが整います。
学校アイテムとしてのカーディガンは基本、男女検討サイズ(シルエット)になっているので、一番下のボタンはあけたほうがキレイに着こなせますよ。
※ニットセーターについて「【スクールセーター】学校でユニクロ、しまむらのセーターは着ていいの?」の記事も書いてますので、ぜひ読んでみてください。
■一番下のボタンをあけないアイテム
【学ラン(詰襟の上)】
軍服が起源の学ランはボタンを全部しめて着用します。
【コート】
フォーマルのときはしっかりボタンを全部とめるというのが現在の一般的な着こなしとされています。
ただカジュアルのときは一番下のボタンを外して軽快な雰囲気を演出してもOKですよ。
ルール通りにいかない場合は?
今まで説明してきたボタンの開け閉めの考え方通りではダメな場合があります。
それは学校の「服装規定のルール」として、「〇〇〇は一番下のボタンまでとめる(あける)」とされている場合です。
その場合は学校のルールに従ってボタンを開け閉めをしましょう。
まとめ
世の中にはいろんなルールがあります。
そこには起源や理由があり、そのルールは尊重し従うべきだと思います。
わたしも制服の販売員として、100年以上の歴史がある日本の学校制服のルールを大切にしながら、制服をこれからも販売していきたいと思います。