制服販売店で働く3児の母のNaNaです。
毎日、制服に囲まれて仕事をしていますが、実は自分の家庭のことで失敗をしてしまいました。
それは、ある月曜日の朝のこと。 「母さん!ズボンが閉まらない!」という息子の声で駆けつけると、そこにはファスナーが噛み込んでしまい、無理に引っ張ったせいでレールが壊れている悲惨なスラックスの姿がありました。
「よりによって今!?」「予備はないの!?」とパニックになりかけましたが、そこは制服屋の端くれ。
なんとかその場を凌ぎましたが、この経験から学んだ「ファスナー故障への向き合い方」をシェアしたいと思います。

家庭でできる!ファスナーが壊れた時の「応急処置」
「ファスナーが動かない」「噛んでしまった」程度であれば、お家にあるもので直る可能性があります。
無理に力任せに引く前に、まずは以下の方法を試してみてください。
① 生地を噛んでしまった場合
一番多いトラブルですよね。布を噛んで動かなくなったら「無理に上げ下げしない」のが鉄則です。
【対処法】
噛んでいる布を、ファスナーの進行方向とは「逆」に、横に引っ張ります。
その状態で、スライダーをゆっくりと「来た道を戻すように」動かしてください。
【裏技】滑りが悪い場合は、マイナスドライバーの先などで、スライダーと布の隙間をほんの少し(1ミリ程度)浮かせるようにすると、スッと抜けることがあります。
② 滑りが悪くて動かない場合
長年使っていると、金属の摩耗で滑りが悪くなります。
【対処法】
「固形石鹸」または「ロウソクのロウ」をファスナーの「エレメント(ギザギザの部分)」に塗り込んでみてください。
何度か往復させるとスムーズに動くようになります。
③ ファスナーが勝手に下がってくる場合
スライダーのストッパー機能が弱まっている可能性があります。
【対処法】
応急処置として、スライダーの持ち手に「二重リング(キーホルダー用)」や「ヘアゴム」を通し、ボタンやホックに引っ掛けてからフロントボタン(ホック)を留めます。
これで、登校中に社会の窓が開いてしまうことは防げます。
「これが出たらお手上げ」家庭では直せない故障のサイン
残念ながら、以下の状態になった場合は、家庭での修復はほぼ不可能です。
無理に直そうとすると、スラックスの生地本体を傷めてしまい、買い替えで約1万円の出費が必要になるため、潔くプロに任せましょう。
■エレメント(ギザギザ)の欠損
歯が一個でも欠けていると、そこから必ず外れます。今回、わたしの息子のスラックスの状態ですね(笑)
■スライダーの完全な脱落
左右のレールが完全に離れてしまい、スライダーが片方から抜けてしまった場合。
■ファスナーの布部分の破れ
経年劣化で布自体が裂けている場合、縫い直しが必要です。
■閉めても後ろから開いてくる現象
これはスライダー内部の摩耗です。パーツ自体の交換が必要です。
まずは制服を購入したお店に相談!
家庭で直せないとなったときは、まずは制服を購入した販売店へ相談しましょう!
よくあるのは「スラックスの裾だし(伸ばし)など生徒の成長に伴うお直し(修理)は無料」というお店だと思います。
わたしの店もその内容(ルール)です。なので基本、ファスナーの修理は有料となります。
もし無料であれば、迷わず購入した制服販売店に補修をお願いしましょう。
有料であれば、近くのお直し屋さんと「修理代金」を比較して、どちらにお願いするか決めましょう。
お直し屋さんでの修理の注意点
お直し屋さんに決めるときは「修理代金」以外にもう1つ、確認して欲しいことがあります。
それが「修理期間」です。
私の制服販売店に来店されるお客様から、こんなお話をよく伺います。
「近所のお直し屋さんに持っていったら、仕上がりまで2週間以上かかると言われて、子どもに着て行かせるものがなくて困ったわ」。
特に、衣替えの時期や卒業・入学シーズン(3月〜5月、9月〜10月)は、全国的にお直し屋さんが忙しくなります。
私自身は、自分の店にあるミシンと予備パーツを使って直しましたが、一般的には「ファスナー交換=時間がかかる作業」なのです。
「制服販売店」か「お直し屋さん」のどちらにお願いするか、判断基準として「修理期間」もしっかり確認しましょう!

スラックスが1本しかない!その時どうする?
「2週間も待てない!明日から履いていくズボンがない!」 そんな絶望的な状況の時、ぜひチェックしていただきたいのが「夏用(または冬用)スラックス」の存在です。
多くの学校制服において、夏用と冬用のスラックスは「同じ色・同じ柄」で作られていることが多々あります。 もちろん、生地の厚みや織り方は違いますが、パッと見の印象はほぼ変わりません。
もしそのような制服の学校であれば、
冬用スラックスのファスナーが壊れたら
⇒下にヒートテックのタイツを履かせて、夏用のスラックスで登校させる。
夏用スラックスのファスナーが壊れたら
⇒少し暑いですが、冬用のスラックスで我慢させる。
そのときに「季節外れのものを履かせて、先生に怒られないかしら?」と心配する方もいますが、事情を説明すれば(説明しなくても気づかれないほど似ている場合が多いですが)数日間の代用としては十分機能します。
「もう一本買う」という高い出費を避けるための、賢い方法ですね。
まとめ

今回の件で痛感したのは「ファスナーの不調は、完全に壊れる前に必ずサインを出している」ということです。
「最近、少し引っかかるな」「なんだか下がりやすいな」 お子様がそんなことを口にしたり、洗濯の時に違和感を感じたりしたら、それが修理のタイミングです。
長期休みに入る前に制服販売店やお直し屋さんへ持ち込めば、2週間の納期も怖くありません。
制服は、お子様の成長を支える大切な相棒です。
もし、ファスナーのトラブルで「どうすればいいの?」と迷われたら、まずは無理に触らず、購入された制服販売店やお近くのお直し屋さんへ相談してみてくださいね。


