「制服が届かない」ニュースが多く取り上げられました。制服のお店によっては非常に厳しい状況になったようです。お陰様で私の勤めているお店は無事、今年もすべてのお客様に制服を渡すことができました。
今回は制服の供給状況とその理由について、制服メーカーさんの話を紹介します。
原因① 制服の生地や付属品の遅れ
制服生地に使われるポリエステルは石油が原料ですが、ロシアのウクライナ侵攻の影響で、紡績メーカー(生地をつくる会社)は石油調達が困難になりました。ポリエステルの糸が作れず、生地が作れす、通常注文から2~3カ月で届くところ、半年以上かかったケースも。
学校制服は素材の調達後に裁断、縫製、仕上げなど、多くの工程を経て製造されますが、そのような状況で制服メーカーの生産は厳しい状況となりました。
原因② ジェンダーレスに対応した制服の多様化
ジェンダーレス対応も1つの原因です。世の中のジェンダーレスの流れに対応するため、学ランやセーラー服をブレザータイプにし、性別に関わらずスラックスかスカートを選べるようにするなど学生服のデザイン変更が全国的に集中したことも、納品が遅れた大きな原因になっています。
ブレザータイプになると、学校ごとに使う生地の種類も多くなり、ジャケットとボトムス(スカートやスラックス)の生地も異なってきます。その為、生地や商品の小ロット化が進み、生地の手配や生産効率も厳しくなりました。
原因③ コロナ禍での商品遅れ
生地を作る中国の工場もゼロコロナ政策の影響を受けてしまいました。
原因④ 国内の縫製工業の生産力減少、外国人労働者不足
円安でアパレル業界全体の国内回帰が進んで、一般アパレルからの受注が今まで制服を縫製していた国内の縫製工場へ受注され、国内の制服を縫製できる量が減少しました。
またコロナ等の影響で国内縫製工場の外国人労働者数が減少し、縫製工場の生産数が減少しました。
まとめ
世の中の環境が変化して、学生服を取り巻く環境も変わっていっていますが、制服販売店の社員としては今後も、生徒さんや保護者の方に新しい制服を喜んで購入してもらえるよう、一生懸命に接客を続けていけたらと思います。
■今回のポイント
- ロシアのウクライナ侵攻の影響で紡績メーカーは石油調達が困難に
- 学生服のデザイン変更が全国的に集中も納品が遅れた原因
- 生地や商品の小ロット化が進み生地の手配や生産効率も厳しくなった
- 一般アパレルから国内の縫製工場へ受注され国内の制服を縫製できる量が減少
- コロナの影響で国内の外国人労働者数が減少し生産数が減少